駐在妻・夫のキャリア中断:理想のキャリアに近づくチャンス!
配偶者の海外赴任が決まり、これからのキャリアをどうするか考える暇もなく退職し、新生活をスタートされた方は多いのではないでしょうか。
突然のキャリア中断でどうしよう…と落ち込む方もいらっしゃるかもしれません。しかし、キャリアチェンジ(転職)やリーダーシップの研究で著名なロンドン・ビジネス・スクール(LBS)の教授、ヘルミニア・イバラ氏による、その状況はキャリアチェンジやステップアップの絶好のチャンスとみることもできます。
そこで今回は『駐在妻・夫のキャリア中断:理想のキャリアに近づくチャンス!』と題して、イバラ教授のキャリアチェンジ・メソッドをご紹介しながら、駐在帯同・同行生活をキャリアのチャンスに変える方法をお話しします。
綿密な計画が足かせに?!
「こんな仕事をしてみたいな…」と誰もが現実の自分の仕事とは異なる「理想の仕事・働き方」を思い描いたことがあるのではないでしょうか。今の仕事に不満がある人はもちろんのこと、大好きな仕事をしている場合にも「もっとこうだったらな」「もっとこんなことをしてみたいな」といった願望はあるものです。
しかし、キャリアチェンジは生活に大きな影響を与えるため、多くの人が慎重に綿密な計画を立てることから始めようとします。そのため「理想の仕事・働き方」を思い描いても、その一歩を踏み出すまでに何年もかかったり、結局踏み出さないこともあります。
こうした理由から、ロンドン・ビジネス・スクール(LBS)の教授、ヘルミニア・イバラ氏は、キャリアチェンジにおいて綿密に計画を練ることを推奨しないといいます。同教授は以下のような理由で計画を練ることは成功を妨げかねないと考えています:
- 現在の自己に囚われて新しい可能性を逃す
- 実際の行動から学ぶ機会を失う
- 完璧な計画を求めることで、変化を起こすための第一歩を踏み出すのが遅くなる
- 新しいアイデンティティを柔軟に形成するのが難しくなる
そしてイバラ教授は次の方法を推奨しています。
- 行動を通じて学び、次のステップを見出す
- 新しいネットワークを構築し、異なる視点を得る
- さまざまな役割を試しながら、アイデンティティを柔軟に変化させる。
このように、イバラ教授はキャリアチェンジにおいて最も効果的な方法は、行動を通じて自己を発見し、経験から学ぶことだと主張しています。そして同教授のいう「行動・経験から学こと」を実践するには、海外駐在生活は最適な環境だと私は考えています。
駐在帯同/同行中はキャリアチェンジに最適な環境
配偶者の海外駐在に帯同/同行するとき、図らずもイバラ教授が提唱するメソッドを実践するには最高の環境が整っているものです。新しい環境、文化に身を置き、やること全てが新しいことだらけ。そして新たな人と出会い、その人からこれまでになかったインスピレーションを得たり、新たな自分に気がつくこともあるでしょう。
労働ビザが降りなかったり、諸事情で働くことができない場合にも、その状況がプラスに働くかもしれません。すぐに働くことができる場合、新しい行動を試すことなくこれまでと同じ業種・職種に就いてしまうこともあるかと思いますが、働けない期間があることによって、新たな経験を得る時間ができます。
これまで、駐在員の配偶者の方々からキャリアに関するご相談をいただくことが多く、海外生活を次のキャリアにつなげるためのサポートをさせていただきました。そして多くの方々が、これまで以上にワクワク、ドキドキするキャリアを見つけられたように感じます。
そして私自身も、夫の海外赴任をきっかけに退職をし、新天地で新たなキャリアを築きました。その道のりは平坦ではなく、落ち込むことや焦ること、そして立ち止まることもありましたが、振り返ってみるとその期間が宝物のように思えます。
キャリアチェンジがうまくいかないとき、心理的要因があるかも?
「キャリアチェンジを考えたいけれどなかなかうまく進められない」と感じられたときにはカウンセリングを活用するのもよいかもしれません。キャリアチェンジがうまくいかないとき、例えば次のような心理的要因が考えれます。
- 何をしたいのかよく分からない(自分の気持ちを知るのが苦手)
- 自分には無理だと思ってしまい気持ちが萎える
- 次の一歩をどう踏み出したらよいか分からない
- キャリアのことを考えると不安になる
- 気持ちが落ち込んでやる気が出ない
- 何か始めても長続きしない etc…
カウンセリングを通して、将来どんな自分になりたいのか、どんな仕事をしたいのかを知り、それをどう手に入れたらよいかが見えてくる場合があります。そして心理的な課題を解決しながらカウンセラーと二人三脚で進んでいくことで、困難に直面してもあきらめずに、キャリアだけにとどまらず人生全般において明るい未来が描けることと思います。
心理についてもっと知りたい方は、『米国ニューヨーク州公認心理士 長谷川由紀のブログ』も合わせてぜひご覧ください。