編集部山口のシンガポールの旬なニュースナナメ読み Vol.04

シンガポールをもっと身近に!
旬のニュースからシンガポールが見えてくる!

今回は、日本人幼稚園の前園長が給与の詐取で逮捕された事件について。シンガポールではEPの取得の条件が年々厳しくなっていますが、海外で生活をする時には日本にいる時以上に遵法意識を強く持つことが大切なのではないでしょうか。

日本人幼稚園の元園長が職員の給与を水増ししてEPを不正取得、実刑へ

66歳の日本人幼稚園の元園長が、教諭の給与を銀行に振り込んだ後、その一部を現金で元園長に還元させていた。

11月25日、就労ビザ取得のために教諭の給与を偽装したとして、元幼稚園長に20週間の実刑判決が下された。被告は外国人労働者雇用法違反の罪3件を認め、さらに8件の同様の罪状についても判決が下されることとなった。被告は、2023年3月に閉鎖された日本人幼稚園の園長兼理事であり、教師の採用と給与交渉を担当していた。

被告は、外国人5人のビザ申請書類に虚偽の給与額を記載したことを認めている。
この行為により、同被告は同時に起訴された3人の職員に支払うべき給与の約29万ドルを還元させて受け取っていた。

EP取得の要件を満たす給与は、現在では最低月給5000ドルである。2014年1月当時の資格要件を満たす給与は3300ドルであった。2015年から2021年の間、被告は5人の職員にEPを取得させるため、4500ドル~9909ドルの給与を申告していたが、職員は毎月給与の一部を返却することに合意しており、被告は給与全額を支払うつもりがなかった。被告は申告した額の給与を職員の銀行口座に振り込み、職員はそこから現金を被告に還元していた。

労働省(MOM)のAmos Tan氏は、職員は毎月、申告した給与の約16%から48%を還元していたと法廷で述べた。MOMは、雇用法違反の可能性があるとの通報を受け、2022年1月に被告に対する捜査を開始。
被告は職員に約19万4000ドルを一部返金した。
25~29週間の禁固刑を求刑したTan氏は、被告は現金で返済をする前に申告給与を預金することで、犯罪を隠蔽しようとしたと述べた。

同氏は、この行為は労働市場における公平な競争の場を確保することを目的としたMOMのワークパスの枠組みを損なうものであると述べた。

参照: channel news asia

(翻訳・要約 山口)

シンガポールのEP取得は年々難化中?

シンガポールで日本人が取得できる就労ビザはEPとS Passの二種類。DPの保持者がDPを維持しながら働くためのWork Permitは、本来のWPの用途とは若干異なるため、この場合はひとまず除外しておいて良いでしょう。
他にもインターンシップ、高額所得者、ワーホリ、先端技術の専門職など色々な就労ビザはありますが、シンガポールで働くとなった場合に日本人含め多くの外国人が取得するのはEPまたはS Passではないでしょうか。

EPは大卒、マネジメントレベルの業務を行う人、専門性が高いポジションに就く人のためのビザで、最低給与は現在は5000ドルですが、2025年から更に引き上げられることが決定しています。5000ドルは新卒者の年齢での最低給与なので、年齢が上がれば更に最低額も上昇していきます。また、COMPASSというポイント制度により、規定のポイント数をクリアしていなければなりません。

ですが、どのような理由があったとしてもビザの不正取得はあってはならないこと。このようなことが続けば、不正を行った人だけでなく、これからシンガポールで働きたいと考える日本人に影響を及ぼすこととなってしまうでしょう。
日本人がビザなしで海外の多くの国や地域に行けるのは、何十年も昔から積み上げてきた信頼によるものです。海外では特に、自身の行動が日本人全体を代表するものとなっていることを意識することが大切なのではないでしょうか。

 

この記事を書いた人 | マンゴスティン編集部・山口

シンガポールに8年居住後、マンゴスティン倶楽部で編集を担当。国際結婚やローカルな生活の経験を活かし、翻訳やライティングも行っています。現地で生活した視点から、シンガポールのニュースを読み解いていきたいと思います。

 

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