自分軸が明確になったからといって、すぐに起業で成功できるわけではありません。
前回のコラムでは、シンガポールで起業し成功するための基本として、何があってもブレない「自分軸」の大切さをお伝えしました。
前回コラム:「じぶん起業」に興味を持ったとき、もっとも大切なこととは?はこちら!
ですが、それだけですべて上手くいくということでもなく…
特に起業初心者における現実は、想像以上に厳しいものがあります。
今回は、その現実と向き合いながら、確実に利益を生む事業を構築する方法をお伝えします。
「好き=成功」ではない起業の現実!!利益を生む事業構築を考える

「子育てが一段落したら、好きなことでお店を開きたい」 「得意な料理やハンドメイドでビジネスを始めたい」 「趣味のヨガを教えて収入を得たい」
このような想いを持つ女性は本当に多くいらっしゃいます。
確かに、情熱を注げることをビジネスにするのは素晴らしいことです。
しかし、私がシンガポールで起業し、紆余曲折あって25年以上事業を続けてきた経験から言えるのは、「好き」だけでは絶対に事業は続かないということです。
「好きなこと起業」の落とし穴とは?
それでは過去にあった実際の事例を見てみましょう。
Aさんのケース
シンガポール在住の40代主婦Aさんは、日本料理が大好きで、友人たちからも「Aさんの手料理は本当に美味しい」と絶賛されていました。そこで、在住日本人向けのケータリングサービスを始めることにしました。
最初の数回は友人たちが注文してくれて、「やっぱり需要がある!」と確信。しかし、3ヶ月後には注文がほとんどなくなってしまいました。
なぜでしょうか?
つまりAさんは、「好きなこと」に没頭するあまり、ビジネスの基本的な仕組み作りを怠ってしまったのです。
主婦の起業に起こりがちな4つの課題
マンゴスティン俱楽部の読者の多くは30〜40代の主婦の方が多いのですが、30〜40代の主婦が起業する際には、独特の課題があります。
★時間的制約
家事や子育てと並行しながら事業を運営する必要があり、フルタイムで事業に専念できません。つまり限られた時間で最大の成果を出す必要があります。
★資金的制約
家計に大きな影響を与えない範囲での起業となるため、初期投資額が限られています。また、失敗した場合の家計への影響を最小限に抑える必要があります。
★専門知識の不足
長期間専業主婦をしていた場合、最新のビジネス知識や技術トレンドに疎くなっている可能性があります。ましてやシンガポールと日本では法律も生活事情も違うので、日本で経験があっても現地についての知識は別途しっかり学ぶ必要があります。
★ネットワークの制約
ビジネス関係のネットワークが限られており、新しい顧客や協力者を見つけるのに時間がかかります。
これらの課題がある中で成功するためには、より戦略的なアプローチが不可欠になってきます。
「起業の本質」を理解する | 起業とは何か?

起業とは、お客様の問題や悩みを解決し、その対価としてお金をいただくビジネス活動です。
ですが、どんなに素晴らしいサービスでも、お客様がお金を支払ってくれなければビジネスとして成立しません。
特にシンガポールのような競争の激しい環境では、以下の点を常に意識する必要があります。
シンガポールで起業を成功させる3つの必須条件

シンガポールで起業を成功させるためには、以下の3つがすべて揃う必要があります。
1. あなたが情熱を注げること(好き・得意)
これは起業の原動力となる重要な要素です。困難に直面した時に踏ん張れるのは、やはり「好き」「得意」という感情があるからです。
ただし、ここで注意すべきは**「好き」の質**です。「なんとなく好き」ではなく、「人に教えたくなるほど好き」「もっと深く学びたいと思うほど好き」という レベルの情熱が必要です。
2. 市場にニーズがあること(需要)
あなたがどんなに好きで得意なことでも、それを必要としている人がいなければビジネスになりません。
シンガポール市場でのニーズ調査方法をざっと挙げてみます。例えば…
・競合他社の分析。同様のサービスを提供している企業の顧客数、価格帯などや評判をチェック
・テスト販売をしてみる。小規模なトライアルで実際のニーズや乾燥を測定する。
3. 収益性が見込めること(利益)
これが最も見落とされがちな要素です。需要があっても、利益が出なければ事業として続けることはできません。
一般的な収益性の計算方法
月間売上目標 – (商品原価 + 固定費 + 変動費) = 月間利益
例:ヨガ教室の場合
月間売上:S$2,400(20レッスン×12人×S$10)
スタジオ賃料:S$800
交通費・雑費:S$200
月間利益:S$1,400
この3つの要素が重なる部分こそが、あなたの「勝てるビジネス領域」になってきます。
実践的な市場調査の進め方とは?詳しく解説

理論はわかったけれど、実際にどうやって調査すればいいの?
そのためのステップは次のようになります。
ステップ1 仮説を立てる
「シンガポール在住の日本人ママは、子どもの日本語教育に悩んでいるのではないか?」
ステップ2 実際に話を聞く
ママ友10人に直接インタビュー。「日本語教育で困っていることはありますか?」「どんなサービスがあったら利用したいですか?」
ステップ3 競合を調査する
既存の日本語教室の料金体系、サービス内容、口コミをチェック。
ステップ4 テスト販売
まずは友人5~10名に格安でサービスを提供し、フィードバックを収集。
ステップ5 数字で検証
「月に20人の生徒がいれば、月収S$1,500になる。シンガポールの日本人家庭は約8,000世帯あるので、実現可能性は高い」
Bさんは最初の3ヶ月間で生徒数を10名まで増やし、現在では月収S$2,000を達成しています。
そして、主婦起業でもっとも重要なのは「持続可能性」です。短期間だけ頑張って燃え尽きてしまっては意味がありません。家庭との両立を考えた現実的なプランニングをしましょう。
無理のないスケジュール設計
- 週15時間以内の作業時間を目標に設定
- 家族の協力を事前に得ておく
- 忙しい時期(学校休み等)の対応策を準備
- 月収目標は控えめに設定(最初は家計の補助程度)
リスク管理
- 初期投資は最小限に(S$1,000以下)
- 6ヶ月で黒字化できない場合は方向転換
- 家計に影響しない範囲での事業展開
次のステップ:あなたの事業プランを作ってみよう
今回お伝えした内容を踏まえ、以下のワークシートに取り組んでみてください。
あなたのビジネス評価シート
このワークを通じて、「好き」と「利益」のバランスが取れた事業アイデアが見えてくるはずです。
起業は決して簡単な道のりではありません。
ですが、正しい準備と戦略があれば、30〜40代の主婦でも十分成功可能です。
あなたの起業が、家族にとってもプラスになる、素晴らしいものとなることを心から願っています。
私のnoteにも起業について記事を書いていますので、よかったら覗いてみてください。
note:起業初心者さん向け:起業で失敗しないために!成功者が密かにやっている「ビジネス選び」
記事で取り上げて欲しい質問や起業についてのご相談もお気軽にお待ちしています。

この記事を書いた人
鈴木康子(やっちゃん)
マンゴスティン俱楽部オーナー兼和テンション株式会社代表。
【わたしブランド起業サロン】主宰。起業プロデューサー・アドバイザー、九星気学鑑定士でもある。
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