光のフェスティバル Light to Night Singapore 2024
シンガポールの街を明るく照らし出す光のフェスティバル
「Light to Night Singapore 2024」(〜2月8日まで開催)、皆さんはもうご覧になりましたか?
Art Week期間中のシンガポールは国内外の様々なアートに出会えるチャンス!ということで、ART SGに続き、先週息子と一緒にLight to Nightのイベントに参加してきました。
会場の最寄り駅はMRT City Hall駅 B出口。
ナショナルギャラリーやビクトリアシアター、アーツハウス、パダン広場周辺でアートインスタレーションや光の投影、ライブパフォーマンスなど国内外のアーティストによる約60点の芸術作品やプログラムが訪れた人たちの目を楽しませてくれます。
8回目となる今年のテーマは「Reimagine」。
新たな視点でアートに触れ、参加してほしいという思いが込められています。
様々なアートインスタレーションも魅力のひとつ
宇宙船をモチーフにした「Wayang Spaceship 」。
2009年のヴェネツィア ビエンナーレでシンガポール代表を務めたMing Wong (ミン・ウォン)さんのインスタレーションです。
ナショナルギャラリーの建物に入ると、突如現れる空中の人影・・・
こちらはVictor Tan(ヴィクター・タン)さんの最新インスタレーション「Rapture」です。ワイヤーを使った彫刻作品で、歴史ある建物に明るいカラーの人影が浮かび上がり、新旧融合した異世界のアートが楽しめます。
子どもたちに特に人気を集めていたのは
シンガポール人アーティスト Lee Wen (リー・ウェン)さんの、メリーゴーラウンドならぬ、PING PONG Go-Roundピンポンゴーラウンド!!
円形のテーブルで型破りな卓球が楽しめます。
私も息子とまるいテーブルで卓球を体験してみましたが、一つの円卓で同時に複数の人たちが卓球をしていたので、ピンポン玉が横に逸れていった時、他の人が打ち返してくれたりして、そこで新たな交流が生まれて楽しかったです。
体験できるアート。卓球する人たちが集まることで、自分たちもアートの一部になった気分を味わえるかもしれません。
今年の注目作品 サガの実がモチーフの“Wings of Change”
続いて、ナショナルギャラリー前にあるパダン広場で一際目を引くこちら。
今年のハイライトの一つ、
シンガポールを拠点に世界で活躍するアーティスト、Kumari Nahappan (クマリ・ナハッパン)さんの「Wings of Change」です。
高さ約6mの大きな赤い実、
こちらはシンガポールでもお馴染みの植物、サガの実がモチーフです。
クマリさん自身が現地で監督し、制作に取り組んだそうです。
クマリさんと言えば、一番街中で身近な作品としては、ショッピングモール「ION Orchard」の入り口近くに設置されているナツメグの実をモチーフにしたブロンズの彫刻ではないでしょうか。きっとシンガポール在住の皆さんなら一度は目にしたことがあるんじゃないかと思います。
クマリさんはこのように果物や種子などをモチーフに描いた大規模な彫刻を作ることで知られており、シンガポール国内の様々な場所でクマリさんの制作したパブリックアートを目にすることができます。
シンガポール国立博物館にはシンガポールの歴史に関わる唐辛子をモチーフにしたクマリさんの作品PedasPedasが展示されています。
Kumari Nahappanさんにインタビュー
先日、ご縁あって、 Kumari Nahappan さんのスタジオを見学させていただきました。広々としたスタジオの中には所々にサガの実をモチーフにした作品が置いてありました。
シンガポールでは昔から「サガの実を100個拾えば幸せになれる。1000個拾うと願いが叶う」と言われていますが、クマリさんの家の近所にはサガの木があったそうで、よくサガの実を拾っては数えた思い出があるそうです。サガの実は1個1個の重さが同じことから、重さを量る分銅のようなものとして使われていたんだとか。
何十年も集め続けているサガの実。彼女の作品には実際たくさんのサガの実が使われていますが、大量の実の保管や管理が結構大変だと話していました。
ツヤツヤとした美しい赤い実。そこには、「エネルギーが詰まっていて、無限の可能性を秘めている」と話します。
昔はシンガポールの街中の色んな場所でサガの木を見られていたそうですが、気候変動などの影響でこの数十年でどんどんその数は減っているようです。
Light to Nightで発表した作品「Wings of Change」はエネルギーと希望を象徴しており、気候変動に立ち向かい自然の保護や保全のために一人一人が何ができるか、考えるきっかけにしてほしいと話しています。
赤い実の周りを時計回りに歩いて観客に参加してもらうよう呼びかけています。そこには、現在を生きる中で流れに身を任せながら前向きな変化を起こしてもらいたいという願いが込められています。
イベントは2月8日まで。特におすすめしたいタイミングは週末。というのも、週末(金・土・日)、ナショナルギャラリーは開館時間を午後11時まで延長し、なんとそれぞれの展覧会は入場無料です!!!
また、期間中、ナショナルギャラリーとパダン広場の前にはオシャレな飲食店の屋台が登場し、美味しいツマミやドリンクをいただきながらパフォーマンスを楽しめます。
夜の心地良い風を感じながら国内外のアートに触れられる貴重なチャンス!美しい光の投影やアート作品に囲まれながら、贅沢な夜のひとときを過ごしてみませんか?