シンガポールで子供の未来を考える|清水泰子の教育コラム #8

シンガポールのインターでは、転校は珍しいことではありません

日本では転校というと親も子も身構え、緊張しがちですが、シンガポールのインターでは毎月のように転校生が出入りし、受け入れる側の子どもたちもその変化に慣れています。

カリキュラムの違い、帰国やビザの事情などを理由に、環境を選び直す・または選び直さなければいけない家庭が少なくないからです。今回は実際にシンガポールのインターで転校を考えている立場から、その日常性と空気感をご紹介します。

シンガポールのインターでは転校は珍しくない

シンガポールのインターナショナルスクールにおいて、転校は日常茶飯事と言っても過言ではありません。「クラスに新しい子が来る」「仲良しの子が別の学校へ行く」という出来事は、学期の区切りだけでなく、途中でも、ごく普通に起こります。

転校生が来るというのは、クラスにとってはちょっとしたニュースになるような印象がありますが、こちらはもう少しドライ。受け入れる側の子どもたちも、去る側も、変化に対してタフで柔軟です。もちろん、見送る側も、見送られる側も寂しさは感じますが、それ以上に「またどこかで会えるね」という軽やかさがあります。親たちも、国内転校なら次の遊ぶ約束をし、国外転校なら「遊びに行く先ができたね」と子どもたちと話します。親が心配するほど深刻な別れや緊張感に包まれることは少ないのが、シンガポールのインター校らしい風景です。

シンガポールのインターで転校が多い理由

転校が多い背景には、シンガポールならではの多種多様な事情があります。よく聞く理由は以下の通りです。

  • 駐在家庭の帰国や他国へのスライド
  • 親の滞在ビザの更新状況
  • 学費の値上がり
  • より適したカリキュラムや環境への移行
  • 学校側の理由(キャンパス閉鎖・統合など)

    外国人として滞在許可を得ている人が多いシンガポールでは、任期やビザなど、保護者の仕事の関係で転校が避けられないケースが少なくありません。また、年々上昇する物価に伴い学費の値上がりも例外ではなく、経済的な理由で学校を変える方もいます。

    一方で、ポジティブな理由での転校も目立ちます。「実際に通ってみたら、カリキュラムが想像していたものと違った」「進路の見通しが変わったので、より専門性の高い学校へ移りたい」といった、学びの最適化を求める声です。また、子どもの成長に合わせ、学業成績や個性、通学圏の拡大などから、子どもに合わせた選択肢を再検討することも、ここではごく自然なステップとして受け入れられています。

    学校側の理由というのは少し驚かれるかもしれませんが、校舎のリースの関係や他キャンパスとの統合など、本人の意思や家庭の事情とは関係なく環境を変えざるを得ないケースも、稀に発生します。

    転校生が特別ではないシンガポールのインター

    「転校が当たり前」という環境は、子どもたちのマインドにも影響を与えています。彼らにとって新しい出会いと別れは日常の一部。そのため、新しく入ってきた子を迎え入れるスピードが早く、コミュニティの扉は常にオープンな感覚があります。学校側も受け入れに慣れており、編入生には「バディ」という、新しい生活に慣れるのを手伝ってくれる生徒がつくことが多いのも特徴です。

    特定のグループが固定されすぎず、メンバーが常に入れ替わることで、人間関係の風通しが良くなるという側面もあります。 もし今の環境で行き詰まりを感じていても、「外にはたくさんの選択肢がある」という事実は、子どもにとっても親にとっても大きな安心材料になります。一つの場所に固執せず、その時々の家族や子どもの状態に合わせて「最適」を探し、柔軟に動くことが、ここでは当然のこととして捉えられています。

    今、シンガポールのインターで転校を考えている理由

    私自身、今まさにわが子の転校を視野に入れて動いています。シンガポールに来た当初は「一度決めた学校には卒業まで通うもの」という固定概念がどこかにありました。しかし数年過ごす中で、子どもはシンガポールの環境に慣れ、また興味関心が明確になり、「よりフィットする環境があるのではないか」と感じるようになったからです。

    少し前の私なら「せっかく慣れたのに」「転校は子どもへの負担が大きいのでは」と不安になったでしょう。しかし、シンガポールでさまざまな理由で学校を変えていく家族の姿をみて、転校は「リセット」ではなく、その子の成長への「最適案を選ぶ手段」だと思えるようになりました。

    今の環境を一度手放し、わが子にとってより居心地の良い場所を選び直す。そんな選択がごく当たり前にできるシンガポールの教育環境は、親子の可能性を広げてくれる大きな助けとなっています。

    この記事を書いた人
    清水泰子(しみずやすこ)

    シンガポール在住、3児の母。不登校の後、オーストラリア高校留学。大手日系・外資系企業を経て、現在はインターナショナル校勤務。

    シンガポールからの国際教育紹介(清水泰子のInstagram)

    シンガポールインター校情報交換「インターママ会」運営(Instagram)

     

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