子育てスペシャル プレママ・パパ向け

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2019月7月12日(金)

「前編」より続く。

| 不調を感じたら、まずはとにかく眠る!

不調を未然に防ぐための手立てとして挙げられるのが、渡航準備

「準備が万全であれば、現地に着いてから慌てることがありません」

とはいえ、駐在員は、赴任の内示が出てから渡航に至る期間が短いことも多くあります。この準備期間の短さは、不安を増長させ、大きなストレスに。たとえ準備期間が1カ月だとしても、日本にいる間にできるだけのことを調べておくとベター。

「来星後、万が一、前項の症状が現れたら、意識的に睡眠時間を長くとるようにしてください。最低でも、連続して4時間。足し合わせてではありません。ベストは連続6時間です」

パソコンをずっと起動させていると動作は鈍くなり、再起動するとスイスイと動くようになるのと同様に、ずっと起きていると脳がヒートアップ状態になってイライラしたり、思考力が低下したりするのだそう。

また、家庭内でしっかりコミュニケーションをとることも必要不可欠。家族の異変に、いち早く気がつけるようにしましょう。

さらに、日本語で話せるコミュニティで、自分の気持ちを話せる人間関係を構築しておくことも重要。人と会話をすることは安心感につながるとともに、自分の気持ちを客観的に見直すことにもつながります。

「以上のことをやってみて、どうしても辛かったら、一時帰国するのも手です」

| 自分の心身の状態に、いっそうの注力を

シンガポールは日本と違い、企業が専任産業医を設けることが義務化されていません。そのため、何か不調をきたした際、駐在員の場合、日本の産業医にオンライン面談を依頼する、一時帰国をして日本の産業医にかかるといった対策を講じるケースが多数。

赴任者本人ならまだしも、帯同家族となると産業医にかかろうという発想が湧きません。よって、帯同家族は普段から自己の心身に注意深く目を向けている必要があると言えるでしょう。

| もちろん、これから患う可能性も!

ちなみに、生活に慣れた後でも、心身を患う可能性はあるのでしょうか。

というのも、筆者は来星時、日本の出版社は退職したものの、LOC(Letter Of Concent)を取得して当地でライター業を続けてきました。が、当初は夫婦2人生活だったものが、妊娠・出産によって仕事を大幅セーブする必要が生じ、家事・育児がメインの毎日となり、「わたしのキャリアはいったいどうなるの?」と不安に感じることが増えてきました。

「もちろん、ありますよ。赴任して落ち着いた後でも、さまざまな変化があり、ストレスはかかります。たとえばいま挙がったケースについて言うと、家事・育児は『評価』が非常にわかりにくいもの。社会で仕事をし、評価されてきた人にとって、評価されなくなるということは変化ですよね。また、赴任の帯同や、妊娠・出産で仕事を辞めざるをえず、メンタルに不調をきたすことを『キャリア分断症候群』と呼んだりします。現代は共働き世帯が増えているので、キャリア分断症候群も増えていると考えられます」

シンガポールは家族帯同ビザでも働ける国とはいえ、キャリアにピタリとハマる仕事が見つからなかったり、言語の壁もあったりするはず。ストレスの種はいろいろなところに潜んでいるのです。

| 変化強者になればいい!?

心身の不調のモトが、変化であるならば、変化に強い人間になればいいのでは。変化に強くなるにはどうしたらいいのか、最後に毛利先生にお聞きしました。

「変化の許容度や器の大きさって、思春期にはだいたい決まっているんです。それを大きくするのはとても難しい。ただし、自身の持つストレス耐性を最大化することはできます

その鍵となるのも、先に挙げたのと同様に睡眠や生活習慣の改善なのだそう。

「メンタル不調時には睡眠が悪化しやすいんです。睡眠の質の低下が1カ月以上続く場合は、自分で無理に解決しようとせずに、産業医や心療内科などに相談するようにしてくださいね」

 

お話をうかがったかた:毛利由佳先生(産業医(日本))

「ELIXIA SG」ダイレクター。医師やコンサルタントを結集させ、東南アジアに拠点を持つ企業を対象に、日本人駐在員のメンタルのサポートを行う。

プレママ・パパ向け
自分の心に目を向けて。赴任帯同家族がとるべきメンタルヘルスケア(後編)