子育てスペシャル プレママ・パパ向け

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2019月7月5日(金)

街はキレイ、安全だし、日本のモノだってたいがい手に入る。家族帯同ビザであっても、働くことができる。

シンガポールは生活に不自由がない国のはずなのに、最近、なんだかモヤモヤしてしまう。これはどうして? どうしたらいい??

近年、海外赴任者の心身の健康維持に関心が寄せられるようになりましたが、ケアが必要なのは、赴任者本人だけでなく、帯同する家族も同様

海外でのメンタル健康対策サポートを専門とする毛利由佳先生に、海外赴任の帯同家族におけるメンタルヘルス事情についてお尋ねしました。

| どんな変化もストレスになりうる

モヤモヤと気持ちが晴れない。心に不調をきたす大きな原因の1つは「変化」だと毛利先生は話します。

「変化は、いい変化も、悪い変化も、どちらもストレスとなります。たとえば結婚って、幸せなことですよね。でもこのうれしい出来事も、生活を一変させる大きな変化。だからマリッジブルーになりうる。変化は、それ自体がストレスなんです」

では、家族の海外赴任に帯同することにおける変化とは。これは次の4つが挙げられます。

  1、パートナー(赴任者)の勤務状況

  2、文化

  3、プライベート

  4、環境

「パートナー(赴任者)の勤務状況」は、海外オフィスに移ることでパートナーの役割や賃金体系などが変わる、家族単位での変化。

「文化」は、言葉やマナーの変化。これらが日本とは異なるなかで、生活の基盤となるセットアップを行わなければならないし、サービスも日本と同じクオリティを望めません。

また、住まいが変わり、日本の友人と距離ができてしまう、場合によってはゼロから友人を作らねばならないという「プライベート」の変化。

そして「環境」。四季がないため、年間を通して気持ちにメリハリがつかない気候の変化や、どこのクリニックへ行ったら良いのかといった医療へのアプローチ、いつ日本へ帰国となるか見通しがつかない中で子どもをどこの学校へ通わせたらいいのかといった教育面、あるいは治安などが含まれています。

| 「愚痴りづらい」がモヤモヤをもたらす

とはいえ、シンガポールはおぼつかない英語でもある程度通じるし、日本人コミュニティも多く、治安もいい。ほかのアジア諸国と比べたら、変化の度合いは小さいように思うのだけれど……。

「そう思っている人がいるから、『言いづらい』という問題もあるんですよ(苦笑)。水道が使えず、井戸から水を引かなければならない、なんて、誰が見ても困った場所であれば『こんなひどい状況なの!』と言いやすい。でも、シンガポールは赴任地としてはとても恵まれている場所なので、辛く感じている気持ちを周囲に吐き出しにくかったりします。それがストレスとして蓄積されていってしまうんです」

| 移住後、3カ月後あたりは特に注意

シンガポールの駐在員帯同家族同士という、同じ立場であったとしても、前述の言いづらい状況は変わらないと毛利先生は言います。

「メンタルに不調が起きやすいのは、変化が生じてから3カ月後くらいが多いんです。移住後3カ月程度では、愚痴をなんでも吐き出せる人間関係の構築にまでは到達しないのではないでしょうか」

移住直後は生活の基盤をつくるために、ひたすら奔走。自分のことを振り返る余裕もなく、あっという間に過ぎていきます。不調は生活が少し落ち着きはじめる3カ月後くらいに起きやすいのだとか。

| 落ち込みやすいのは、1つの症状

不調を招くと、具体的にはどんな症状が現れるのでしょうか。これは、大きく分けて2つ。

  1、問題行動

  2、心身の症状

「問題行動」とは、やけ酒や、人間関係でトラブルを起こす、あるいは引きこもりなど。「心身の症状」とは、落ち込みやすくなり、だんだんと自律神経失調症、睡眠障害、うつ状態、ひいては周囲から見てもおかしな行動が表出するように。

   →不調をきたしてしまったら、どうすべき? 解決の糸口は「後編」に。

 

お話をうかがったかた:毛利由佳先生(産業医(日本))

「ELIXIA SG」ダイレクター。医師やコンサルタントを結集させ、東南アジアに拠点を持つ企業を対象に、日本人駐在員のメンタルのサポートを行う。

 

プレママ・パパ向け
自分の心に目を向けて。赴任帯同家族がとるべきメンタルヘルスケア(前編)