【LIFEコラム】豆知識:シンガポール生活のキホン情報vo.4 (シングリッシュ)
シンガポールの生活で最初の驚きの1つに、いわゆる日本の学校で教えてもらったアメリカ系英語とは違う英語が存在することがあります。
シンガポールの普段の生活で聞かれる英語、それは「シングリッシュ」。最近生活を始めた人も、ずっと長く住んでいる人も。シングリッシュって何だろう、というのを考えてみませんか?
助動詞 Can が大活躍
シングリッシュでは、例えばこんな風に使われています。
お客:(カフェで)Can I have this special coffee?
店員:Yes! Can!(キャン!→いいですよ)
お?1語だけ?!と拍子抜けしますが、これで事足りるのが、さすが多民族国家&効率主義のシンガポール。なので、逆に言うと、この1語が聞き取れないと Sorry? と聞き返すことになります。
ですが、ちゃんと注意して聞くようにすれば慣れますし、相手もハッキリ言ってくれるので便利な言葉です。
お客:(レストランで)Can I book a table for two next Monday at seven?
店員:Can Can!!(キャン、キャ~ン!→もちろん、いいですとも!どうぞどうぞ~)
しかし、いつでも「できる」とは限りません。否定文はどうなるでしょうか。
A:Can you meet me at five today?
B:Umm… Can not, leh.(キャンノー レー)
よく文末に使われる lah/leh には強い意味はないようですが、なかなか難しく、長年住んでいる人でも使い分けが難しいそうです。 lah/leh 以外でも、ah (l が落ちて聞こえているだけかもしれませんが)もありますね。
確かに、英語ではなくマンダリン(中国語のいわゆる標準語)でも、文末に語気のニュアンスを示す「ナ」「ア」を使うことがありますが、何となくあると、文のおさまりもいい感じがします。日本語でも「~ね」「~かな」をつけたりしますが、この手のニュアンスを操るには、ある程度の語学学習が進んでからになりますよね。
要素で一番大事な語や語尾だけで成立する
店員:(スーパーのレジで)Need a bag? (レジ袋は必要ですか?)
お客:No need.(要りません)
え! you の主語がない?!と、これまた拍子抜けしますが、これで事足ります。No need は要素的にはマンダリンの「不用(いらない)」に近いと思いますが、相手に失礼な言い方ではなく、自然に使われています。日本語だと「不要ですよ」くらいのニュアンスだと思います。
生活していて、こんな場面もありました。
車を運転している不動産スタッフ:(お客さんを乗せ、コンドのセキュリティで)Viewing, ah.
→訳:物件の下見(viewing)で来ています
お店の店員:(お客に対し、予約リストを見ながら)Number, ah?
→訳:お客様の番号は何ですか?
他にも…
お店のレジで:Member ah?
→訳:お客様は(このスーパーの)会員ですか?
って、先日も言われました。一番大事な語や語尾だけで成立しているよい例で、英語というよりもマンダリンの文構造とも通じるものがあると思いました。
語尾を発音しないこともある
先ほどの対話で、今度は発音へ目を向けてみましょう。
店員:(スーパーのレジで)Need a bag?(ニダバ?)
お客:No need.(ノーニ)
シングリッシュでは、語尾や子音を発音しないことがあります。たとえば card なら「カ」、car parkなら「カッパッ」。前後の文脈だけでなく、その場の瞬発力というか、しっかり聞いていないといけませんね。
前回、シンガポールには略称が多いという記事でも触れましたが、公用語が複数あり、中国語が外来語から語をつくる際に最初の音のみを拾い、あとは省略する特性の影響(例えば英語のchocolateは、中国語ではチャオカリー(巧克力)のように発音)する傾向など、さまざまな影響が見られる気がします。
効率重視のお国柄も相まって、文法の面でも効率的で、発音も1つ1つ子音まではっきり意識しないとなると、確かに二重に難度が高くなりますよね!
ですが、こうやって多くのルーツや言葉のアクセントを持つ人どうしが英語を学び、相互にコミュニケーションをとろうと思うのなら、それは1つの新しいスタイルなのだろうなと感じますし、寛容さの表れもあるかもしれません。
やはり奥深い&懐が深い、シングリッシュ。きっとあなたもシングリッシュの便利さに慣れて、身に着けて来た英語との使い分けができるようになるかもしれません!
過去の豆知識記事はこちら
マンゴ編集部
誌面制作でのこぼれ話や、誌面未公開情報、編集部が独自に入手したお得情報などを更新します!皆さんのシンガポール生活の心強い味方であり、毎日のささやかな楽しみになることを願って。Thank you lah~!!