第1回のコラムで書いたとおり、終活に対する誤解は、
終活は死ぬときのための準備
終活は高齢になってからするもの
終活は残される家族のためにするもの
ですが、
ほとんどの方が「え! そうなんじやないの?」「何が誤解なの?」と不可解に思われたのではないでしょうか?
終活に対する誤解を捨てましょう

「終活」という言葉が登場したのは 2009年。
週刊朝日が特集記事で取り上げたのがきっかけで徐々に広まり、エンディングノートに自分のことを記録したり、財産や葬儀・墓などの要件を記すというのが主な活動となっています。
実は今から1千年前の平安時代にも終活が大ブームで、藤原道真や後白河上皇なども終活?のようなものをしていたと言われています。
当時、最高の人生の終わり方は「死の間際に阿弥陀仏が迎えに来てくれて極楽浄土で生まれ変わること=往生(おうじょう)」だと考えられていました。
そのため、死の間際に取り乱さないようにするためにイメージトレーニング=終活のようなものも行われていたそうです。
自分の人生の終わり(=死)を意識して行うので、死ぬときのための準備や高齢になってからするものだといったイメージが強いのですが、
「自分がいつまで生きるのか? いつ死ぬのか?」は誰にもわからず、突然その時を迎える方もいます。
海外では結婚や子どもの誕生で終活を始める!?

アメリカでは、終活は「財産・相続の契約」の意味合いが強く、始めるきっかけは「子どもの誕生」なのだそうです。
私は「愛する人ができたら」終活を始めるのがベリーベストとだと考えています。
人生100年時代、平均寿命は長くなっていますが、すべての人が長生きするわけではなく、不慮の事故や病気で若くして亡くなる方もいらっしゃるので、
「終活は高齢になってからするもの」という誤解をまずは捨てていただき、終活は思い立ったが吉日、はじめの小さな一歩を踏み出していただきたいと考えています。
また、
ミドルシニアの方とお話しした際に、よく「自分よりも親の方が先だから」とおっしゃる方が多いのですが、私は「どちらが先かはわかりませんよ。一緒に終活をやっていきましょう」と笑いながらお話ししています。
次回以降で詳しく書きますが、「終活をしたがらない親」には自ら終活を始めると効果があります。
あまり大きな声では言えないのですが、70歳を過ぎてから終活を始めたのでは、先が短く最期の時のことだけしか考えることができないので終活がつまらないもの、ネガティブなことになってしまいます。
終活は「死ぬときのための準備」ではなく、人生の最終章をより良く整えるためにしておきたいこと、した方が良いことです。
子どもが成人して独立したり、仕事中心の生活が一段落して迎えるセカンドライフのための準備として終活を考えると、ネガティブな終活のイメージが明るくなります。
子育てが一段落をしたり、退職したらやってみたいことを考えて、悔いのない人生を送るために「こころの終活」を行うことで、最期の時に「いい人生だった」と思えるようになります。
ポジティブな終活をすると良いことがたくさんある

ライフビジョン研究室では、葬儀や墓、相続のことを「ガチ終活」、悔いのない人生を生きるためにする終活を「ゆる終活」と呼んで、ガチ終活とゆる終活をまとめて「ポジティブな終活」としています。
実はポジティブな終活をすると、いいことがたくさんあります。
終活をした人が100%幸せになれるとは断言できませんが、終活をした人と終活をしなかった人では、雲泥の差があります。
ポジティブな終活をした人は、
- 充実した時間を過ごせます
- お金を計画的に使えます
- 不安や悩みが少なくなります
- 認知症でもなんとかなるんです
- 孤独死のリスクが低くなります
- 相続時のトラブルのリスクが下がります
そして一番大きなメリットは「悔いが残らない人生」を送れることです。
終活というと、残された人が困らないようにするためのものと考えている人が多いと思いますが、実は、遺族の為だけではなくて「自分のため」にもすれば良いことがたくさんある活動なんですよ。
ライフビジョン研究室では、終活を「こころの終活&家族」「お金・相続」「身体・医療・介護」「デジタル情報」「断捨離・終の棲家」「葬儀・墓・供養」と6つのカテゴリーに分けています。
終活は皆さんが思っている以上にすることがたくさんあり、あまり高齢になってからではできなくなる可能性が高いので、早めに少しずつやっていくことをお勧めしています。
例えば、割と気軽にできる終活の一つに生前整理(=断捨離)がありますが、
これも70歳以降になってからでは、体力気力がなくなるので、なかなか進みません。
やろうと思っても腰が重くて、いつのまにか「ゴミ屋敷」という方も少なくありません。
さらに、若くても事故にあったり突然倒れたりして、救急車で病院に運ばれ、自分の意志で治療を選ぶことができなくなることもありますので、
ACPアドバンスケアプランニング(終末期の医療について自分の考えや意思を家族や医療従事者などと話し合い、共有する取り組み)も必要です。
また、終の棲家について考えるのも終活です。自分の最期をどこで迎えたいのかも考えて、きちんと計画を立てておくことが重要です。
まだ早いと思うこともあるかもしれませんが、今やって、今役立つこともたくさんあります。
自分自身を整理して、スリム化することは、新しい自分を発見したり、やるべきことや本当にやりたいことが見つかることにもつながります。
つまり、終活は死ぬときの為だけではなく、生きていくためのリスク対策であり、充実した人生を送るための対策や準備なのです。
とはいえ、シンガポールと日本では離れていますので、日本に住んでいる親ごさんのことが心配ですよね。
家族によって、親と子の距離感はそれぞれだと思います。
もしかしたら、毎日のようにインターネットを使って話をしているご家族もいれば、月に1~2回、何かあった時だけ近況を話すだけというご家族もいると思います。
(それは日本に住んでいても同じかもしれませんが)
物理的な距離と心の距離ーこの溝を埋めながら、お互いの不安を少なくしていくためにも、親子で少しずつ「終活」を進めていただければと思います。

次回以降は、離れて暮らす親の終活について、お話をさせていただきます。
*終活についての疑問や質問があれば、「マンゴスティン倶楽部読者」として、お気軽に以下のフォームよりお問合せください。
https://ennkatu.hp.peraichi.com/consul
ご相談者の許可をいただいたうえで、個人情報・プライバシーに配慮して、できるだけ連載中にお答えさせていただきます。
この記事を書いた人
ライフビジョン研究室 主幹 吉川和世
1961年鹿児島県生まれ。大学を卒業後、リクルートで大手上場企業の新規部門の採用企画や出版社にて開業医向け雑誌の編集業務を担当。
その後、教育系NPO法人を立ち上げ、12年間代表理事兼コーディネーターとして活動。50代後半で離婚を経験し、61歳で10歳年下のパートナーと再婚しつつ、93歳の母と同居し楽しいセカンドライフと明るい終活を実践中。離婚案件の相談なども受け付けている。









