なぜドラゴンボートフェスティバルにちまきを食べるの?
先週末、ローカル幼稚園に通う息子が笹の葉らしきものに包まれた三角形の食べ物を持ち帰ってきました。
「ん?これは、、、ちまき?」
先生に問い合わせると、
「ちまきです。」
ではなぜ、このタイミングで「ちまき?」
先生によると、
「Dragon Boat Festivalの時期に毎年食べます」とのこと。
確かに、いただいた袋に「端午節 Dragon Boat Festival」というラベルが貼られてある。
さて、Dragon Boat Festivalって何?
なぜ端午節のことをDragon Boat Festival と言ったりするの?
端午節って日本で言う“端午の節句”と同じ?
シンガポール一年生。様々な疑問が湧いてきます。
端午節に「ちまき」・・・と聞いて、私は九州出身で子どもの頃から端午の節句の時期には必ず「ちまき」を食べていたのでなんだか妙に親近感も湧き、もっと知りたくなってきました。
「ちまき」について調べてみると、日本とシンガポール共通して中国の歴史や文化に影響を受けていて、それぞれの面白い食文化が見えてきました!
そこで今回は端午節、そしてシンガポールで楽しめるちまきについてレポートします。
端午節って何?
日本🇯🇵では端午の節句というと、毎年5月5日ですが、
端午節は旧暦の5月5日。中国の歴史や文化に由来していて
春節、清明節、中秋節とともに中国の四大伝統行事の一つなのです。
人口の7割以上中華系が占めるシンガポールにとっても端午節は大切な行事となっています。
端午節Dragon Boat Festivalのシーズンになるとちまきを食べる習慣があります。シンガポールだけでなく中国をはじめマレーシアや台湾、香港など中華系の人たちが暮らす様々な国でそのような食文化が残っているようです。
そもそも、「ちまき」は中国から伝わったもので戦国時代の楚の政治家であり詩人の屈原という名誉ある人物を称えるために作られるようになったという言い伝えがあります。
端午節はその屈原(くつげん)を悼む日で旧暦の5月5日(今年2021年は6月14日)にあたります。
日本の端午の節句は子どもの成長を祝う日ですが、端午節は屈原を忍ぶ日なのですね。
屈原は楚の国王の側近として支えていて信頼の厚い相談役の一人でしたが、政治的陰謀で国王から追放されると絶望して川で入水自殺したと言われています。
楚の国の人々は悲しんでその時舟を出したそうです。
シンガポールの地元紙The Straits Timesによると、
「ドラゴンボートレースは地元の人が屈原の体を探したことがきっかけだったと言われている」としています。
屈原を慕っていた地元の人たちは「ボートの櫂で水を叩き、太鼓を叩いて悪霊を追い払うことで彼の体を守ろうとし、魚に彼の体が食べられないようにご飯の塊を川に投げ込んだ。それがちまきの起源となった」ということです。
この物語と川の「ドラゴン」を鎮めるためにドラゴンの形をしたボートを使う中国の漁師の伝統がうまく融合し、漢王朝時代にスポーツへと進化していったという説があります。
ほかにも、屈原を救おうとしてドラゴンボートで漕いだという説もあります。そのため毎年旧暦の5月5日に合わせてドラゴンボートレースが開催されているようです。(詳しくは①②をチェック)このような諸説から端午節がドラゴンボートフェスティバルと言われるようになったのですね。
シンガポールで楽しめるバラエティ豊かなちまき
シンガポールでちまき(英語でRice Dumplingですが、シンガポールではBak Chang(バッチャン)とも呼ばれている)を手に入れようと思えば年中手に入りますが、ドラゴンボートフェスティバルの時期が近づいてくると、より様々な場所でちまきが販売されるようになり、その種類の多さに驚かされます。
デパートの高島屋に行ってみたら、地下にこの時期ちまきの特設コーナーが設けられていて、店の前にはご覧の行列が!
選りすぐりのちまき専門店の味が手軽に味わえます。(最終日は端午節の日)
ローカルスーパーはどうでしょう。
Sheng Siong Supermarketでは入り口近くに特設でちまき売り場を設けて、ちまきを販売していました。
売り場のスタッフに話を聞くと、大体毎年端午節の日まで約1か月間特設でちまきを販売しているとのこと。
端午節前日に訪れたのですが、終盤で売り切れ続出!私が訪れた時には2種類しか残っていませんでした。
ローカルスーパーでゲットできるちまきは1個1ドル台〜で手に入るので安くてトライしやすいと思いました!
ちまきの専門店では端午節の前日、長蛇の列ができていました。購入までにかかった時間は30分以上。
Eastern Rice Dumpling
メニューを見ると種類が豊富!
福建、広東など中華系のちまきに加えて、マレーシアと中華の食文化が混ざったニョニャ風、ベジタリアン向けのものもあります。
シンガポールのちまきを見ると、様々な国の食文化の融合が感じられて面白いです。
実際、どんな味なのか。いくつか気になるものを食べ比べてみました!
Nonya Rice Dumpling(緑色の紐)
もち米の中に甘く煮た豚肉のそぼろのようなものが入っていて、包んでいる葉はシンガポールでおなじみのPandan Leafでした。
Salted Hokkien Rice Dumpling(黄色の紐)
栗、きのこ、豚肉が入っていました!こちらはBamboo leafに包まれています。
Cantonese Style Rive Dumpling with Egg Yolk(青色の紐)
塩漬け卵と豚の角煮がドーンと入っていて食べ応え抜群です。こちらもBamboo leafに包まれています。
個人的にはこの3種類の中でNonya Rice Dumplingが一番好きな味でした。お肉も甘く味付けしてあるので小さな子どもも喜んで食べそうだと思いました。
そうそう、もちろん味がついているものばかりではなく、プレーンのものや甘いちまきもあります。
Sheng Siong Supermarketで購入したちまきの一つ、
Kee Chang(Red Bean)。
もち米の中に小豆のあんが入っていて、味はまるで“おはぎ”のよう!確かに構造もおはぎの逆パターン。これはスイーツとしても楽しめる味だと思いました!
最後にトライしたのは高島屋で購入したRainbow Lapis のNonya Dumpling。
こちらはバタフライピーの花で色付けされていて、ご飯の色がほのかに青い!中には鶏そぼろが入っていました。スパイスが効いていて、大人向けの逸品!
同じニョニャ風と言ってもお店によって具材や色合いなども変えているので、自分好みのちまきを見つけて様々なお店でトライするのも楽しそう。
金曜日に息子が幼稚園からちまきを持ち帰ってきたことでドラゴンボートフェスティバルについて知ることになり、土曜、日曜、月曜と連続で様々なちまきを食卓に迎え、すっかり端午節を楽しませてもらいました。
端午節-Dragon Boat Festivalに欠かせないちまきとドラゴンボートレース。コロナ禍で2年連続ドラゴンボートレースは中止になりましたが、来年のレースはぜひ生で観戦してみたい!また一つシンガポールで楽しみなことが増えました。
様々なお店を巡りながら在星中にいろんなちまきをトライして美味しかったものをまたブログに綴りたいと思います。ちまき好きの皆さん!あなたのおすすめぜひ教えてくださいね!